高次意識はことごとく万物に浸透し、天上から地上までの一切の諸現象に顕現しています。世界に遍満するエネルギーは、高次意識の情報を映し出すことで形霊としての様態を帯びるようになり、当初の混沌とした様相がそれぞれ個性的な形象となります。形霊のすべては高次を介した働きかけによってなされる有機的生命力としての様相を演じ、時間と空間を構成します。
原初の一点に根差す一様なエネルギーからなる多様な世界が、情報の違いを表現しながら形霊としての人間界や天界を生み出します。形霊からなる形象は高次意識の天上と地上における表現形式であり神性の現れでもあります。目に見える物質界において様々に姿を現す形象を通して、私たちは肉体に存在を保証され、同時に形象の中に浸透する高次意識とのつながりを獲得することができます。形象を成す神性を通して、すべての形象をもつ存在としての神性への働きかけが可能になります。水が悠々と流れ、雲が移ろい、季節が変わりゆくように、何ひとつ過つことない絶対的普遍性の力動的な生命力が形霊の色彩を帯びながらあらゆる形象を導いており、私たちは形象と形霊の理解を通して相対的個性としての自己が本来的に有している働きと、絶対的普遍性としての高次意識が万物を束ねていく和合の働きとを日常生活の内に見出して活かしていくことができます。

　常に変わり続ける形象としての有限性と、変わることのない法則としての無限性を併せ持つ高次意識は全体をことごとく導いています。有限性としての形象を万物に与えることで、非存在は存在を保証され、時間と空間を獲得することができます。私たちは肉体的な形象を得ることで存在を獲得すると同時に誕生から死に至るまでの有限世界に身を置くことができます。個人を取り巻く外的環境は様々な形象の違いと平等ならざる差異によって区切られ、有限性のもとに秩序立つ関係性を行き渡らせます。私たちは形象を通した万物との関係性の中で個人的な形象を営むのと同時に、万人との関係性の中で全体的な形象を形づくっていきます。形象によって普遍的な世界に差異がもたらされ、さまざまな進化と変容が地上にもたらされます。私たちの物質的生活を支える科学技術は数量化され視覚化される有限形象の恩恵によって大いに発展し、世界は複雑にシンクロした形象で溢れています。おおよそ地上において、環境を形づくる高次意識はすべての形象的な存在に浸透し、有限性の世界における形象が要素還元的な文明の発達を支えると同時に、形象を通して人類の精神的な進化が促されるように導きます。要素還元的な形象が帯びる安定と堅実の中に、本来的に変化と崩壊の繰り返しというエネルギー還元的な特性を両立しています。それぞれの二元性を併せ持つ形で万象を織りなす高次意識は、有限性と無限性を自己の内に一元化しています。

　高次から普遍的にもたらされるエネルギーを介して、私たちの所属する太陽系を中心とした私たちの世界は時間と空間を始めとして様々な特性を与えられています。高次意識は形象を通して非制限的な空間の中で人間の肉体に制限をもたらし、非限定的な時間の中で肉体に限定をもたらします。高次意識が形象化されるこの宇宙は、極大から極小に至るまで、陰と陽の二重性を一つに包みこむ大きな生命としての営みそのものであり、形象の中には有限性と無限性を同居させています。それぞれの人間は個人的にはパーソナリティと形象の有限性を生かしつつ、普遍的には生命や意識という霊的に非形象な無限性を生かして、全体との相互作用の中で繋がりを得ることができます。私たちが居を構える時間と空間は、多様な個性と品性の違いからすれば差別と不平等によってもたらされる物質的かつ形象的な環境と、一様な生命性と精神性からすれば無差別で平等によってもたらされる霊的かつ非形象的な環境を同居させた一元世界です。私たちの世界は形象と非形象の狭間で、正邪や矛盾、真と偽、偏りと標準、拡散と収縮をもたらす情報とエネルギーの多次元構造を統合的に演じる有機的一元性の様相をとっています。高次意識の一元的世界に存在を保証される私たちは、先天的に有する品性や特性を足がかりに世界との関わりを体験し、持ち得る知識程度の理解と認識力で世界をとらえながら、有限形象と無限形象の往来を体験していきます。自己と他者の個性や品性の違いや、それぞれ有する個々のテーマの違いがもたらす摩擦や練磨を経験しながら、やがて共通する神性や生命性において万人和合の中核的テーマに迫ります。そして、自他一如を演じる非形象的で一元的な高次意識への帰着を成すとともに、各個人が本有する品性を演じる形象的で二元的な個人意識へと形霊を凝集させることを自在なるがままに体現するようになります。巨視的には宇宙規模の絶大無量と絶対的普遍性の世界観と、微視的には個人規模の微細少量と相対的個性の世界観の両世界を自在に往来しながら、肉体として生まれた因果に根差して本来的に有する個人的な品性の覚醒と相互扶助を日常とすることで総体としての進化がもたらすようになります。

　個人の形象が根を下す有限の世界において形霊を解放する契機が訪れると、肉体と形象はエネルギーへと順に遷移しながら、相対的個性は変容を迫られます。当初の混沌とした非形象の海へと還ることで、エネルギーは変容しながらも絶対的普遍性を演じる生命の働きは個人的形象が有した情報を消滅させることなく維持し更新を続けます。個人が経過したそれぞれの時間と空間における形象とパーソナリティは情報として維持されながら、エネルギーの還元と凝集の過程で輪廻転生を通して形霊に反映しながら持ち越されます。過去の情報から導かれる因果をもとに形霊が呼び起こされ、再び個人の形象表現となりながら現世にもたらされる形象的な関係性が配されます。高次意識によって恒常的に維持されていく全体の大きな流れに加わりながら、各個人が作り上げる現世は来世の形霊となり、さらに次世代の形象を形づくります。そして森羅万象と世界万人が過去から引き継がれるそれぞれの時間的かつ空間的な形象の重層的なシンフォニーによって全体の和合を奏上しながら、宇宙即我、我即宇宙の一元的自己としての総合進化を導く主体でもあります。